ログイン

ログイン

経営者がこだわるオフィス ー 「ABW」「バイオフィリックデザイン」「五感の刺激」「データ分析」で最先端オフィスを構築するOKAN

「オフィスへの戦略的投資」を実践し、働く場の効果を検証するOKANオフィス。HR企業が自社人材を対象に進める働き方改善施策の内容を紹介する。

Facility

0

近年、会社経営におけるオフィスの重要度は高まり、経営者が自らオフィス構築の中核を担うことが増えている。そこで今回は「経営者がこだわるオフィス」に注目し、経営者としての思いや考えをどのようにオフィスで体現したかについて、3社のオフィスをシリーズ化してお伝えする。

今回訪問したのは、2019年5月にダイヤゲート池袋へオフィスを移転した株式会社OKAN。健康的な食事を社内で提供できる『オフィスおかん』サービスや組織課題を分析し社員の早期離職の改善をサポートする『ハイジ』サービスの展開で、同社ミッションステートメントである「働く人のライフスタイルを豊かにする。」を実行するHR企業である。「働く人に、おせっかいを。」のモットーをオフィスでも実践している。

オフィスは社員に大きな影響を与える要素の1つである上に、金額的な投資額が大きくなりやすい領域であるにもかかわらず、科学的な効果測定ができない問題が残る。このように考えたOKANの代表・沢木恵太さんは「働き続けやすさの実現」だけでなく、「実証実験を行える研究開発拠点」としてのオフィスを重視したという。それを踏まえた上で「オフィスにかけた投資額はこの企業規模では多い方だと思う」と沢木さんがこだわったオフィスは、ABWやバイオフィリックデザイン、五感の刺激、データ分析など、世界的なオフィストレンドが凝縮された洗練されたつくりになっていた。

その中身について沢木さんに話を伺った。

アットホームなデザインで暖かみを演出した内装

「ie 家」と名付けられたオフィスは、エントランスに足を踏み入れた瞬間から感じられるアットホームなデザインが特徴となっている。コンセプトは「おかえり」と「ファミリーワーク」の2つ。初めて訪れたゲストにどこか懐かしさを感じさせ、常に暖かく迎え入れる空間。そして社員には「働く人に、おせっかいを。」が伝わるような空間で、それぞれが担当する案件や顧客におせっかいを焼くよう徹底した当事者意識を持つようになることまでが新オフィスのストーリーとして掲げられている。

オフィスに入ると早速玄関のようなスペースがあり、社員もゲストもここで靴を脱ぐ。

コーポレートカラーとしてロゴにも活用されている『緋色 (ひいろ)』は平安時代から用いられる日本の伝統色。平安時代、人を思う気持ちを「思ひ(おもひ)」と書き表し、緋色はそれから由来する。働く人のことを思うOKANのコーポレートバリューに合うことから採用、オフィスにも反映している。「WLV」はOKANが大事にするWork Life Value(仕事と生活のバランスに関する個人の価値観)の頭文字をとったもの。

HIROBAエリア。靴を脱いでリラックスしながら会議を行う社員の姿が新鮮に映る

和のホーム感が全面に漂うオフィスには、冒頭でも述べた「ABW」「五感の刺激」「バイオフィリックデザイン」「データ活用」のポイントが散りばめられている。

アメリカ西海岸でもなかなか見ることのできない「ABW」「五感の刺激」「バイオフィリックデザイン」「データ活用」の4軸両立

働く人のライフスタイル改善を重視した沢木さんは、オフィス環境内の細部にこだわり、すべてに意味を持たせるようなデザインを徹底した。世界のオフィスと比べても勝るとも劣らない先進的な環境をつくり、実証実験の場として活用することを目的としたオフィスのポイントは以下から見受けられる。

働く場所の自由を与えるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)

新オフィスの特徴の1つは、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の考え方を取り入れている点。ABWは、1つのデスクですべての作業を行うのではなく、働く活動・行動に合わせて働く場所を選べるようにすることで、生産性を高めることができるとされる働き方だ。OKANのオフィスには個人の集中作業や、2人作業、グループでの情報共有など下の合計8つの活動を整理した上で、それを支えるスペースが各所に用意されている。

  • RELAXING
  • CONCENTRATION
  • BUSINESS PROCESSING
  • PHONE WORK
  • PAIR WORK
  • DIALOG
  • INFORMATION MANAGEMENT
  • INFORMATION SHARING

メンバーと短い会話や質問を交えながら、個人作業を行えるTSUKUEエリア【BUSINESS PROCESSING】

中断されず、高い集中力を維持しながら作業できるSEISHINエリア【CONCENTRATION】

2〜3人が議論や会話を行う会議室(SHIPPOU、SAYAGATA、KIKKOU、CHIDORI)【DIALOG】

2人が近距離でじっくりと作業や議論ができるNAGAMEエリア【PAIR WORK】

MIDORIエリアも2人作業が可能【PAIR WORK】

OKANでABWを取り入れたのは今回のオフィスが初めて。異なる空間を用意する分、オフィスの設計が多少複雑にもなる。空間を整理し、社員の理解を深めるためにわかりやすいABWマップがオフィス入り口近くに設置されている。

次ページ:なぜABW導入に踏み切れたか?

この記事を書いた人:Kazumasa Ikoma

Facility

0