Web会議を効率化!AIを活用した文字起こし・要約ツールを紹介
オンラインでの会議や商談が増え、その内容をまとめる議事録の作成が担当者の負担となっている。本記事では、日に日に精度が高まっている、AIを活用した自動文字起こし・要約ツールを紹介する。
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Web会議が増加し、その効率化が課題に
Web会議システムを使ったオンラインでのミーティングや商談の機会が増え、その効率化が新たな課題となっている。なかでも会議の内容をまとめた議事録の作成は、会議の数が増えるほどに担当者の負担になっているのが現状だ。
議事録は、会議の内容を振り返ったり、決定事項を確認したりすることで、次の会議の方向性を定め、今後の業務の改善を図るのに役立つ。しかし、その作成に時間をとられていたのでは、かえって生産性を下げることになってしまう。
最近では、AIによる音声の自動文字起こしツールや自動要約ツールが登場し、AI自らが学習するディープラーニング(深層学習)により、その精度が日に日に高まっている。さらに最近では、リアルタイム編集が可能であったり、発言者を区別して表記してくれたりと、便利な機能が追加されてきている。
本記事では、Web会議をより効率的にする文字起こし・要約ツールについて、各サービスの特徴を紹介する。
Web会議の効率を高める文字起こし・要約ツール5選
1. AmiVoice® ScribeAssist
株式会社アドバンスト・メディアが提供する「AmiVoice® ScribeAssist」は、会議の内容をリアルタイムで議事録化できるアプリケーションだ。音声録音からテキスト化、編集、要約までをワンストップで行える。
画像はAmiVoice® ScribeAssistのWebサイトより
同社が25年にわたりAI⾳声認識を研究してきた知見とノウハウにより、多彩なビジネスシーンでの優れた認識率を誇る。さまざまなWeb会議システムに対応しているが、オフラインの状態でも使用可能。インターネット接続の有無にかかわらず、対面での商談や打ち合わせ、講演会、研修などシーンを問わず、いつでもどこでも利用できる。情報漏えいのリスクを抑えたい、機密情報などを扱う会議でも安心だ。
さらに新機能として、「ファシリテーションモード」が搭載された。これは、開催の準備から進行、リアルタイムでの要約議事録の作成までをアシストしてくれる機能だ。会議の目的が明確化されることで、会議のクオリティとスピードの向上が期待できる。
実際に導入した株式会社アデランスによると、さまざまな製品を試す中で同サービスは「認識精度が高いことに加え、単語登録機能で専門用語や社内用語も文字化でき、話者識別機能によって発言内容と発話者を紐づけて記録できるため、議事録作成作業の業務負荷軽減に最も効果的」であったことが導入の決め手になったという。
2. Notta
Notta株式会社が提供する「Notta」は、AI音声認識により音声からテキストに変換し、編集・共有が可能な文字起こしアプリだ。文字起こしは話者認識機能により話者ごとに分けて表記され、リアルタイム文字起こし中に編集を行ったり、重要な箇所にタグ付けをすることもできる。
画像はNottaのWebサイトより
クラウドサービスであるため、一つの端末で文字起こしデータを作成すれば、同一アカウントですべての端末で自動共有が可能。共有リンクの発行により、他の参加者との共有もスムーズに行える。
現在、さまざまな企業・団体が導入しており、導入企業は500社以上、累積ユーザーは100万人を超える。2023年夏頃には、ChatGPTによるデータ解析・要約自動作成をリリース予定とのことで期待したい。
3. AI GIJIROKU
株式会社オルツが提供する「AI GIJIROKU」は、導入社数 6000社を超える国内最大規模の議事録自動作成ツールだ。Web会議はもちろん、会議室でのオフラインの利用も可能。音声認識精度は99.8%を誇り、会議終了後すぐに文字起こしを自動保存してくれる。
画像はAI GIJIROKUのWebサイトより
新たにAI要約機能が搭載され、これにより同社は議事録編集作業の約85%を削減できるとしている。議事録データをユーザーが手動で修正することで、AIが追加学習を行いパーソナライズに精度が向上される。
同一空間で1台のPCスピーカ・マイクを複数人で使った場合もAIが話者を特定してくれるほか、議事録に「重要」「TODO」「メモ」のブックマークを付けることもできる。また、30カ国語に対応したリアルタイム翻訳機能を搭載。議事録を翻訳するだけでなく、Zoomと連携することによりリアルタイムに翻訳結果を字幕として表示することができる。外国人メンバーとのコミュニケーションにも役立つ点が特徴だ。
4. QuickSummary
株式会社エーアイスクエアが提供する「QuickSummary」は、AIによる自動要約・分類ツールだ。テキストの文・単語間の参照関係をスコアリングすることで、重要な箇所だけを抜粋してくれる。
画像はQuickSummaryのWebサイトより
また、教師データを与えることで、業務特性に応じた要約と分類にカスタマイズ可能。業界用語やトレンドワードが含まれるテキスト群を自動的にタグ付けすることができ、SNS解析やVOC(顧客の声)分析にも活用できる。重要キーワード抽出機能や分析したデータを1つの画面に表示するダッシュボード機能なども搭載しており、議事録作成にとどまらず、顧客ニーズの把握や分析による新たなビジネスの創出にも役立つ。
5. 大規模言語AI イライザ
「大規模言語AI イライザ」は、「まとめる、書く、読む、話す」を人間並、あるいはそれ以上の精度で実現する日本語AIサービスだ。イライザは東京大学の松尾 豊研究室が独自開発した日本語における大規模言語AIであり、同研究室発のAIスタートアップである株式会社ELYZAが企業との共同研究やクラウドサービスの開発を手掛けている。
画像は大規模言語AI イライザのWebサイトより
現在、大規模言語AI イライザを活用し、自動要約が数秒で行えるクラウドサービス「ELYZA Doc DIGEST」がリリースされている。Web会議の文字起こしはもちろん、ニュース記事やメール、特許などあらゆる文章をAIが数秒で要約してくれる。
なお、エンタープライズプランを利用し学習用データを提供すれば、独自のオリジナルモデルの開発も可能。同サービスは既に損害保険ジャパン株式会社、株式会社マイナビ、デロイトトーマツリスクアドバイザリー株式会社など多くの大企業で活用と実証実験が実施されている。どんな長文でもAIが3行に要約してくれる「ELYZA DIGEST」のデモサイトが公開中なので、気になる方は実際に使ってみるとよいだろう。
また同社では、新たにGPT系列などのグローバルな大規模言語モデルと国産言語AI(イライザ)の双方を活用し、企業向けにデジタルトランスフォーメーション(DX)アイデアを最短1週間でカタチにする新サービスを公開した。国産言語AIを活用したサービスの今後に期待したい。
Web会議の効率化でリソースをコア業務へ
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、オフィスに人が戻ってきている。しかし今後もWeb会議システムは、オフィスワーカーとリモートワーカーをつなぐツールとして変わらず活用されていくだろう。Web会議を効率化することは、従業員がコアビジネスに直結する業務に注力できることを意味する。今後、人材不足がさらに深刻化することを考えると、多くの人員を割きたくないノンコア業務の効率化はより重要性を増していくはずだ。まずは自社に最適な文字起こし・要約ツールを導入し、Web会議の効率化に取り組んでみてはいかがだろうか。