現役大学生に聞く!就活において会社のオフィスって気にしてる?
人材獲得を目的にオフィスや働き方改革に力を入れる企業が増えているが、学生側はそれをどのように見ているのか。3人の学生を呼び話を聞いた。
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オフィスは働く場所であった。しかし現在、「出社義務なし」という会社が増えてきた。インターネット技術の進歩による働き方の変化によるものだ。
そんな中、これから社会に出て行くいまの大学生は「オフィス」に対してどんな意識を持っているのか。現役大学生以下3人にインタビューをしてみた。
司会
稲田晋司(以下、稲田):株式会社フロンティアコンサルティング執行役員
生駒一将(以下、生駒):株式会社フロンティアコンサルティング営業推進部リサーチャー
学生
山崎そういちろう(以下、山崎):現在就活中の大学3年生
丸山圭太(以下、丸山):ライターとしてインターンを行っている大学2年生
笠間翔(以下、笠間):エンジニアとしてインターンを行っている大学1年生
Q オフィスって企業選びでどれくらい重要?
丸山:「正直な話全く考えたこともないし、全然重要度は高くないですね。」
山崎:「確かに就活で『私の就活の軸はオフィスです』て言う人は見たことないですね。
でも、もし複数内定をいただけたら福利厚生という面でオフィスを比べるのもありかなって思いますね。長期的に働くことを考えると少なくとも環境は大事かなって。」
笠間:「確かに給料とか一緒だったら僕もオフィスを見ます。机と椅子だけのオフィスではあまり働きたくないです。」
山崎:「笠間君の場合はエンジニアだし、オフィス作業が多いから特に自分に合ったオフィス環境があるといいよね。」
丸山:「自分は長期的に働くことを考えたらくつろぐ空間がないと困るなと思いますね。考えていないだけで意外とオフィスのこと重要視してるのかもしれないです。」
山崎:「僕も机と椅子だけ…みたいなオフィスで働く姿はあまり想像できないですよね。そう考えてしまっている時点で、無意識にオフィスの充実度は意識してるかもしれないですね。」
Q ここで働きたいなって思った企業はありますか?
丸山:「僕はさっきも言ったようにくつろげるような空間がいいので、それこそインターンをしているTRUNKのオフィスがアットホーム感があっていいと思います。
TRUNKのオフィススペース
1つの場所で集中するのが苦手なので、自分の好きなように場所を変えながら仕事ができる空間が理想的ですね。」
山崎:「確かに。自分も1つの場所で集中するのが苦手なので場所を変えられるオフィスがいいです。
同じ場所にいることが不可能と言う訳ではありません。幼稚園から高校までは、決められた場所で過ごしてきましたから。ですが、私の場合は高校3年の9月頃の体験が決定的でした。
私は普通の県立高校に通っていましたが、受験勉強以外でストレスを感じさせたくないと言う学校側の配慮からか、高校3年の9月以降は受ける授業を生徒自身が自由に選ぶことができました。これを機会にと、私はできるだけ教室を移動できるような授業の取り方をしました。すると、教室の移動と同時に頭も切り替わり、授業への集中力だけでなく、実際に成績も劇的に上がりました。自分は作業をする場所を変えた方が生産性が高まる体質だと感じ、この経験から働き方を選ぶ基準の1つに定めました」
笠間:「自分は集中したい時にはLODGE-Yahoo!やWeWorkを使って、ゆるく作業したい時はTRUNKなどのくつろげる空間を利用しています。働くならこの二つの空間がある会社で働きたいですね。」
山崎:「確かに。でも、くつろげる空間はコミュニケーションがとりやすい反面、一人で集中するときにはあまり向かないよね。笠間君は状況によって使い分けられるオフィスが理想的ってことだね。」
Q 日本式とアメリカ式どっちの働き方がいいですか?
稲田:「次の質問に行きたいと思います。アメリカって社会に立つとみんな同じスタートラインに立たされるんですよ。中途か新卒とか関係なく。ということは学生のうちにある程度スキルをつけておくことが必要なんですよね。
でも日本は違う。何もスキルがない状態で入社して、その会社に育ててもらうというスタンスですよね。どっちの制度がいいですか?」
山崎:「自分は能力がないですけど転職が盛んなアメリカ式がいいですね。理由は一つの組織で失敗とか別の仕事がしたいとかいうときに、自分の感情の赴くままに働きたいからです。それは一つの会社では難しいかなと。」
稲田:「なるほど、後々の転職のしやすさで考えてアメリカ式なんですね。」
丸山:「僕は日本式で全然構わないと思っています。やはり学生はたくさん勉強して遊べばいいと思います。」
笠間:「僕はアメリカ式がいいです。会社に依存しないほうがいいと思います。スキルが足りなかったりして残業とかもさらに増えてしまうと思うので。」
Q 就活ルール廃止についてどう思いますか?
稲田:「これから就活ルールが廃止されて企業が内定を出すタイミングが変わってきます。
いつでも内定を出してOKという雰囲気になってきて、みんなで一斉に就活スタートではなくなって、中途の人と新卒の人で会社に入る人が戦うみたいな感じでだんだん働き方がアメリカ寄りになってきていますよね。
これについてはどう思いますか?」
山崎:「僕はいいことだと思います。いままでの日本の就活は自分でタイミングを選べなくてきついなと思っていたので。
お金のない時期に選考に入ってしまうと相当生活がきつくなります。就活の予定が最優先になるため、バイトのシフトは削らざるを得ない上、交通費などの出費がかさむからです。企業の選考時期は年によって変わる上、選考期間がどれくらい長くなるかも不透明な点は結構きついです。
けどその反面、これからは能力がないと戦えないし、スキルがないと簡単に切られてしまうのかなという不安と期待の感情があります。」
丸山:「もう少し遅く生まれてきていたら期待だらけだったと思いますけど、今の自分の立場だと下手したら自分の後輩が内定を持っているかもしれないということですよね。それって恐ろしくないですか?(笑)」
稲田:「そういうリアルな意見面白いですね。」
笠間:「僕は期待しています。学歴をつけるためにはお金が必要だし、大学に行けるとは限らないから、お金がなくてもスキルのある人が生きやすい世界になればいいなと思います。
たとえ道を逸れたとしてもスキルをつけて立ち直れる雰囲気があってもいいのかなと思いますね。」
Q こんな働き方したくないなというのはありますか?
稲田:「少し話は変わりますが、こんな働き方したくないなっていうイメージとかってありますか?」
山崎:「働く時間と働く場所を限定されることですね。長時間働くのは全然いいんですが、『9時から21時まではオフィスにいてね』みたいなのは少し考えます。
僕の親がまさにそういった働き方をしていました。長くオフィスに滞在していたのは、会社の文化と親の意思の2つの理由があったと思います。会社は、基本9時から18時はオフィス勤務というように定めていたようです。しかし、上長の方が残っているうちは帰れないという雰囲気があったそうです。また、親自身も残業代を稼ぎたいという気持ちはあったと話していました。
しかしそこはしっかり考えるべきポイントかなと思います。」
丸山:「僕は飲み会に極力でないでいいワークスタイルがいいなあって思いますね。バイト先が居酒屋なので、仕事に追われている中で飲み会にも顔を出さなければいけない社会人の辛さを目の当たりにしたが、できれば自分はこのように飲み会に出ずに仕事を終わらせることに集中できる環境の方が好ましいと思いました。」
山崎:「逆に『働く時間を調整できる』というのはこれからさらに学生にとって魅力的に映るものだと思います。私がマルタ共和国に語学留学にいった際、ルームメイトのドイツ人男性が育休を2ヶ月とっていたのが印象的でした。彼は奥さんの出産前1ヶ月、出産後1ヶ月に休みをとっていました。しかし育休の間もリモートで働ける時間は働くと言う姿勢で、家族にも同僚にも迷惑をかけないようにしていました。
また、私が勤務する長期インターンシップ先の社員の方のGoogleカレンダーの予定には毎朝、『子供を保育園に連れて行く』が入っています。その方は奥さんと共働きで、保育園に連れて行くのはどうやらその方の役目のようです。これも働く時間を調整できる環境があるからこそできることです。」
Q 私生活と仕事の混ざり具合はどれくらいがいいですか?
稲田:「そういう観点から行くと、仕事とプライベートを混ぜるという考え方も最近出てきていますよね。どれくらい混ぜたいか、という理想はありますか?」
山崎:「どちらかというと混ざっているほうが僕は好きですね。プライベートの時間を削る、いつでも仕事のことを考えることになるかもしれませんが、オフィスで働くことに限定されない働き方がしたいですね。
理由は、『働く場所を選べること』の方が、『仕事とプライベートの切り分け』より優先順位が高いからです。もし僕に家族ができたとします。そのとき私は、家に仕事を持ち込んででも、家族と過ごす絶対的な時間量をできるだけ増やしたいです。逆にオフィス以外では仕事のことを全く気にしなくて良いけど、家族と過ごせるのは平日18時以降と土日祝日だけというのは、僕はあまり魅力を感じません。あくまでも、家族などプライベートの都合に費やせる時間が多いことを優先したいです。」
丸山:「自分は混ざらないスタイルが好きですね。自分はメリハリをつけてやるときはやる、やらないときはやらないという感じで仕事をしたいので。」
山崎:「お互い、私生活の時間を大切にしたいという意識は共通してますね。そのために、仕事と私生活が混ざった方がいいのか否かは価値観の違いだと思います。」
Q 理想の働き方って何ですか?
生駒:「さっきは嫌な働き方を聞いたんですが、逆に理想の働き方とかありますか?」
丸山:「僕は1つあって、前OB訪問した某外資コンサル企業の方が、給料もよくて土日祝日も休み、残業も月10時間以内って聞いてこれこそ理想だなって思いましたね。」
山崎:「某プロバイダー会社さんですね。そこは完全フレックス制で、給料も年俸制なので完全に自分の成果次第というところが、自分の求める労働条件を満たしていてとても魅力的に感じました。」
笠間:「僕はオフラインではインターン先のCレベル幹部の働き方が理想的です。自分が作ったサービスを日々成長させて磨きをかけるという業務が、まさに『スタートアップは青春のやり直し』という言葉にぴったりだと思いました。
また、私生活も充実しているように見えます。時には海外に行きながらリモートで働ける点が、私生活の都合とバランスの取りやすいエンジニアならではの働き方だなと思いました。」
生駒:「先ほどの仕事とプライベートの混ざり具合の理想がここでも如実に出ているのが面白いですね。」
Q 労働環境と労働制度のどちらを重視しますか?
稲田:「他の条件が同じで、オフィスのきれいさか働き方の自由さを取れって言われたらどちらを取りますか?」
丸山:「自分は働き方を選びます。今のところではオフィスはあればいいかなくらいでしか考えていないので、好きな働き方ができればいいかなって思っています。自分が好きではないオフィスだったとしても使っていくとは思いますね。」
山崎:「働き方が自由だったら、自分がオフィスに来る回数や働く場所もオフィスに限定されなくなると思うので結果として働き方を優先させますね。」
笠間:「山崎さんと同じです。オフィスがきれいでも働き方が縛られてしまっては意味がないと思うので、オフィスのきれいさよりは働き方を優先させますね。」
山崎:「でも働き方が自由なところって、なぜかオフィスにも力を入れているところが多いような気もします(笑)」
Q オフィスの知識ってどこから得てますか?
生駒:「これまでオフィスの話を中心に聞いてきましたけど、皆さんその情報どこから手に入れていますか?」
山崎:「自分は知人からの紹介が多いですね。ここのオフィス面白いよとか。」
丸山:「自分は大学の講義でベンチャー企業の社長さんが毎回入れ替わりで授業してくれる講義とかあって、主に大学で知識をつけてますね。」
笠間:「自分はインターン先の先輩とかSNSから情報を得ています」
生駒:「人それぞれ身近な人から情報を仕入れることが多いんですね。」
Q オフィスに欲しい空間はどんなものですか?
生駒:「今自分が勉強空間とかお気に入りの空間で、ここオフィスにあったらいいのになという場所はありますか?」
山崎:「自分は対面で作業をするのが苦手なので、スターバックスみたいなカウンター式のテーブルなどがあるといいですね。」
丸山:「家みたいな感じがいいので、お風呂カフェみたいな空間があればいいなって思います。」
笠間:「自分はリラックスできる休憩場所がとても大事です。」
山崎:「みんな、自分にとって居心地のいい空間が欲しいって感じですね。」
Q 最後に、企業選びにおける働き方の優先順位は?
稲田:「最後にこのインタビューを踏まえてこれらの事柄に優先順位をつけてもらってもいいですか?」
学生3人に聞いた企業選びにおける優先順位。「給与」だけでなく「働き方」の順位も共通して高い。
記事冒頭にもあったが、近年最新のオフィスを導入する企業が増えているにもかかわらず、今の段階で「オフィスが大事!」と言う就活生の声を聞くことはまだ多くない。
しかし、「オフィス」という言葉が「働き方」に置き換わるとどうだろうか。上の図でも明らかなように、企業選びに重要な要素の上位3つのうちに「働き方」が含まれるようになっている。ひと昔前では選ぶこともできなかった要素だからこそ、「働き方」に対して若者が大きな興味を示していることは間違いない。良い働き方の実現のため、快適なオフィスは手段・方法の1つかもしれない。
自分が長期にわたって利用することになるオフィス。働き方という観点から、オフィスを企業選びの選択肢に入れて就活してみるのはどうだろうか?