Miroが提供を開始したビデオ会議ツール「Around by Miro Labs」を解説!
オンラインホワイトボードのMiroがWeb会議ツール「Around by Miro Labs」の提供を開始した。共同作業がしやすく、Web会議のストレスを軽減する工夫がされている同アプリの特徴を紹介する。
Technology
Web会議ツールAroundにMiroの機能が統合
働き方が多様化し、Web会議は多くの企業で日常的な業務となっている。Web会議の内容も、ただ話をするものから、ファイルを共有して共同作業を行ったり、オンラインホワイトボードに書き込みながらブレインストーミングを行ったりするものに進化してきた。
そこで注目したいのが、アメリカのTeamport社が開発し、オンラインホワイトボードのMiroが2022年10月に買収したWeb会議ツール「Around」である。
Aroundは170カ国以上、1万社を超える企業で利用されており、もともと優れたユーザーインターフェース(UI)による使いやすさと、既存のWeb会議ツールの課題を解消する機能が支持されていた。今回Miroと統合したことで、オンライン上の共同作業をシームレスに行えるという特徴が加わっている。本稿では、新たな機能を備え生まれ変わったAroundの特徴と使い方を紹介したい。
Around by Miro Labsリリースの背景
ビジネス用のビデオ通話は、1964年のニューヨーク万国博覧会で公開された「ピクチャーフォン(カメラ付き電話機)」以降、大きな変化を遂げていなかった。しかし近年、Web会議が浸透し、会議の目的が顔を突き合わせての近況報告ではなく、SlackやFigma、Miro、Notionといったアプリを起動しながら、マルチプレイヤースタイルで素早く目的を成し遂げることに変化している。
この新しい働き方をビデオ通話に反映すべく開発されたWeb会議ツールがAroundだ。参加者の顔を見ることよりも、集中して共同作業することに重点を置いて開発され、2018年にリリースされた。そして2022年10月にオンラインホワイトボードのMiroがAroundを買収した。
画像はAroundのMediumより
買収後、Miro内で実験的なアプリ開発を手掛けるMiro Labsが、Miroのビジュアルコラボレーション機能をAroundに追加。新たに「Around by Miro Labs」(以下、Around)として生まれ変わった。現在、ベータ版を無料で使用できるので、是非このシームレスなコラボレーションを可能にするWeb会議ツールを使用してみてほしい。
Aroundを使用するには? 対応OSと料金プラン
Aroundの利用には、公式Webサイトからアプリのダウンロードが必要だ。Windows10とMacOS(Mojave以降)の両方に対応している。アプリをダウンロードすれば、iOSやAndroid搭載のモバイル端末でも利用可能(一部機能の制限あり)。また、Chrome、Microsoft Edge、Safari、FirefoxのWebブラウザでの使用にも対応している(一部機能の制限あり)。
画像はAroundのWebサイトより
現在はすべてのユーザーがProプランとなっており、無料で利用可能である。Proプランは2023年後半から有料化される予定だ。予定されている料金プランは、無料の「Free」、月額8.97ドルの「Pro」、月額15.97ドルの「Business」の3種類。どのプランも利用者からの招待ゲストは無料で参加できる。
【Aroundの特徴①】どこでも誰とでもコラボレーションしやすい!
Aroundは多彩なコラボレーションツールを備え、チームでのドキュメントの編集、デザインセッション、コードレビューといった共同作業がスムーズに行えるところが特徴だ。まずは、コラボレーションを高めるツールとしてのAroundの魅力を紹介していきたい。
1. チームやプロジェクト専用の部屋がつくれる
Aroundでは、オンライン会議用の部屋を無制限に作成することができる。まずチームで関わるプロジェクトや定期的な会議の名前を付けた部屋をいくつかつくっておき、参加者を招待しておくとよい。アプリを開くだけで、誰がどの部屋に入っているのかが一目で確認でき、アクティブな部屋をクリックすればすぐに会議や共同作業に参加できる。
画像はAroundのWebサイトより
2. アプリやデバイスの切り替えが簡単
他のアプリとの連携がスムーズに行えるのもAroundの特徴だ。会議中にホワイトボードが必要なときには、ウィンドウ上部に並んだタブからMiroを選択すれば、Around上にMiroボードを呼び出せる。アプリの切り替えのために画面を閉じたり開いたりする必要がないため、共同作業に集中しやすい。
画像はAroundのWebサイトより
また、パソコンからモバイル端末、あるいはモバイル端末からパソコンに瞬時に切り替えられるハンドオフ機能も備わっている。参加者が退出と入場を繰り返したり、通信が途切れたりといった中断がなく、共同作業を継続しやすい。
3. 遊び心のあるコミュニケーションで連携強化
Aroundのツールには、絵文字やGIF、音楽、ゲームなど遊び心に溢れたものが多い。チームのコミュニケーション強化に役立つビジュアルツールがあることもひとつの魅力といえるだろう。
画像はAroundのWebサイトより
4. 自動文字起こしで手間なく議事録を作成・共有
現在は英語のみの対応だが、オンライン会議中に「Record and Transcribe Meeting」をクリックするだけで、リアルタイムに文字起こしが表示される。発言内容は、名前やタイムスタンプとともに記録されていくので、うっかり話を聞き逃したときにも安心だ。日本語でのサービス拡充が楽しみな機能である。
なお、Aroundには参加者全員で共同編集できる「Notes」というメモ機能があり、現状でも手入力での議事録作成は可能だ。会議終了後、参加者にメモの内容がメールまたはSlackで自動送信されるため、チームでの情報共有も簡単に行える。
【Aroundの特徴②】オンライン会議ならではのストレスを軽減!
Aroundは基本のWeb会議機能においても、共同作業に集中しやすい工夫がなされている。オンライン会議疲れを大きく軽減してくれる、音声やアイコンに関する独自の機能を紹介したい。
1. ノイズ抑制とエコー防止で音声ストレスから解放される
Web会議の音声が聞き取りづらいと、参加者のストレスになる。その点、Aroundには、AIによるノイズキャンセリング技術が採用されている。開発に2年の歳月を要した独自技術により、ビデオ通話中に周囲の雑音を自動で低減してくれるものだ。
また、エコー防止機能があることも大きな特徴だ。これまでのビデオ会議ツールでは、同じ部屋でオンライン会議に参加する場合、全員のマイクをオンにするとエコーが生じる問題があった。Aroundでは独自の信号処理エンジンにより、同じ部屋にいる全員がマイクをオンにしてもエコーやハウリングが発生しない。
画像はAroundのWebサイトより
つまり、これまでのように1台のWebカメラの周りに人が集まる必要がなくなるのだ。また、共同作業を行ううえで、それぞれが自分のパソコンを使用してストレスなく話し、絵文字で反応したり、共有ノートにアクセスできる優位性は大きい。エコー防止機能はベータ版では無料だが、有料化後はProプランではアドオンサブスクリプションとなり、Businessプランでは標準搭載される予定だ。
2. アイコン表示の自由度が高い
少人数のオンライン会議に入室した時に、自分の顔が思いのほか大きく画面に映し出されて驚いた経験はないだろうか。一般的なビデオ会議ツールでは、参加者の顔がタイル状に分割して表示される。一方Aroundでは、参加者のアイコンが円形で小さめに表示されるため、顔が大きく映る心配はない(タイル状にしたい場合はGallery Viewの選択で可能)。
アイコンを画面上から隠したり、表示する場所を変更したりと自由度が高いのも特徴だ。Campfireを選択してアイコンを円形に並べたり、ファイルを開いて共同作業を行う際にFloatingを選択してアイコンを浮かせたりすることもできる。
画像はAroundのWebサイトより
それぞれ個人のデバイスで会議に参加するため、オフィスでテーブルを囲んでいる人たちが大きくフォーカスされて映ることもない。リモートの参加でも疎外感がなく、どの参加者にもストレスを感じさせない仕様といえるだろう。
3. 背景の自動トリミングとフィルター機能で部屋を気にしなくて済む
Web会議に参加する際、自分のアイコンの背景が気になる人も多いだろう。この問題を解決してくれるのが自動トリミング機能だ。人の動きを認識して、アイコンの背景を自動で消去してくれる。さらに、フィルターや背景エフェクトを使って、個性的なアイコンに仕上げることもできる。カラーフィルターをかければ、顔色やメイクを気にする必要がなくなるため、早朝の会議にも気軽に参加できそうだ。
画像はAroundのWebサイトより
Aroundで快適かつコラボレーティブなWeb会議を
Web会議ツールについては、ZoomやMicrosoft Teamsなど使い慣れたツールを使用している人が多いかもしれない。これらのツールもホワイトボードを搭載したり、WordやPowerPointなどのファイルの同時編集を可能とするなど、共同作業に力を入れる動きがある。そうした中でもAroundは、Miroにシームレスにつながること、カジュアルに称賛等の反応を示せること、各自が個別のパソコンを操作しながらマイクを使用できることなど優位性が高い。何よりも、離れていても同じテーブルを囲んで話しているような距離感が楽しいWeb会議ツールといえる。一度試してみることをおすすめしたい。
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